経営者なら誰もが直面する課題、それが「集客」です。
お客様が来なければ売上は立たず、事業は回りません。だからこそ、多くの経営者が「どうやってお客様を集めるか」に頭を悩ませています。
ただし、ここで見落とされがちなのが「短期集客」と「長期集客」の違いです。
この二つは似て非なるもので、目指すべき方向を誤ると、経営は安定しません。正道の経営では、長期集客を軸に据えることが基本となります。
短期集客の特徴
短期集客とは、その場でお客様を呼び込む施策です。例えば、
- 値下げキャンペーン
- クーポン配布
- 広告出稿(リスティング広告やSNS広告)
- イベントやタイムセール
これらは即効性があります。実際、私も新店舗オープン時には短期施策を打ち、席を埋めた経験があります。数字を出さなければスタッフの士気も落ちるので、短期施策を否定するつもりはありません。
しかし、短期施策だけに頼ると「常に新規を集め続けなければならない状態」に陥ります。
値下げに慣れたお客様は正規価格で来なくなり、広告を止めれば新規が途絶える。つまり、「集客の借金」をしている状態です。
長期集客の特徴
一方、長期集客とは「お客様が自然と集まってくる仕組み」をつくることです。具体的には、
- 顧客満足度を高め、リピート客を育てる
- 紹介や口コミが生まれる仕組みを持つ
- ブランドイメージを確立する
- SEOやブログ、SNSで情報発信を続け、信頼を蓄積する
長期施策は派手さはありません。成果が見えるまでに数か月、場合によっては年単位の時間が必要です。しかし一度基盤ができれば、広告を減らしても安定して顧客が来店し、紹介による自然増が期待できるようになります。
短期と長期の使い分け
経営者として重要なのは「短期と長期をどうバランスさせるか」です。
私自身の経験から言えば、
- 新店舗オープン時や閑散期には短期施策を使う
- 店舗が安定期に入ったら長期施策を優先する
- 長期施策の効果が出るまで短期施策でつなぐ
という考え方が現実的です。短期施策は「アクセル」、長期施策は「エンジン」。どちらも必要ですが、エンジンを育てることを忘れてはいけません。
サロン経営における実例
サロン業界は特に「短期集客」に走りがちです。クーポンサイトや広告に頼れば、とりあえずお客様は来ます。けれど、その多くは値段で動くお客様であり、定着しません。
一方で、正道経営を実践するサロンは「短期施策は最小限」にとどめ、スタッフ教育や接客、情報発信に投資します。結果としてリピーターが増え、広告費に依存しない集客が実現します。
私の店舗でも、オープン初期は広告を使いましたが、今はほぼリピーターと紹介で安定しています。短期から長期への移行ができたことで、利益率も高まりました。
長期集客の実践ポイント
- 顧客体験を徹底する
技術だけでなく、接客や雰囲気、居心地を磨く。顧客体験の満足度が紹介とリピートにつながる。 - 情報発信を続ける
ブログやSNSで一貫して発信する。すぐに成果は出なくても、積み重ねが信頼となり、後に集客を支える資産となる。 - 顧客リストを持つ
メルマガ、LINE公式などで顧客とつながり続ける仕組みを持つ。リピーター育成には必須。
まとめ
短期集客は必要ですが、それはあくまで「一時的な施策」です。正道の経営が目指すのは、長期的にお客様が集まる仕組みを育てること。
派手さはなくても、長期施策を続けることで「広告をやめても来客が止まらない状態」が実現します。
これこそが、正道経営における営業・集客戦略の核心なのです。